connel coffee
東京・港区の草月会館の2階に位置するカフェ。
1977年に建築家・丹下健三によって設計された当時のインテリアがまだ残っていることや、
赤坂御所や高橋是清翁記念公園、そしてイサムノグチが手がけた石庭への眺望が美しいことから、
天井や壁面には触れず、新たな造作壁も建てることなく、床と家具のみをデザインすることにした。
床にはnendoが手がけたフローリング「stream」を使用し、2つに分かれた空間を流れるように繋ぎ、
カウンターの側面も同じフローリング材で仕上げ、さらに一体的な印象が生まれるようにカウンターや
階段のフローリングの目地が全て床と揃うようにした。カウンターの天板には艶のある黒い
人造大理石を使うことで天井のグレーペンミラー仕上げと呼応させ、竣工当時からここで使用されてきた
エーロ・サーリネンの「チューリップ・チェア」は補修してマットブラック塗装を施して再利用することにした。
また、一緒に使われていた「チューリップ・テーブル」も同じく補修され、天板には天井と同じ
グレーペンミラーを貼った。結果的に、この場所がもつ潜在的な価値を引き出すような
インテリアデザインが生まれた。
カフェはnendoが運営母体となり、様々な人たちとの有機的なコラボレーションを行っていきたい、との
思いから名前を「connel」(=様々な要素を「こねる」)とした。ロゴはnendoのロゴから「n」を抽出し、
グニャリと曲げるようにして2つの「c」にし、オリジナルマグカップは持ち手部分を手でこねて
作ることで一点一点異なる形状となるようなデザインにした。さらに、マドラーはマグカップの中で
自立するような形にしつつ、錫製にすることで使っていくにつれて徐々に形状が
柔らかく変化していくようにした。