山の上ホテル パティスリー
東京・御茶ノ水の「山の上ホテル」は、昭和28年米軍より返還された宿舎を改修してその翌年開業。
客室わずか35室だからこそできる手作りの独自のサービスで今なお多くの人に親しまれている。
特に川端康成氏や三島由紀夫氏など著名な文豪にも宿泊や執筆の場として使われたことから、
「文化人のホテル」としても広く知られている。
この、山の上ホテルのリニューアルに合わせて、オリジナルスイーツのパッケージも一新されることになり、
従来は商品ごとに仕様がバラバラであったところを「書斎」というモチーフで緩やかに束ねられることとなった。
フィナンシェやマドレーヌといった焼き菓子類は「文庫本」サイズのボックスとし、
「ブックカバー」からわずかに顔を覗かせているようなデザインに。
「帯」にはそれぞれ異なる色と番号が添えられていることで、
本棚に陳列した際に背を見れば中身がわかるようになっている。
チョコレートは「色鉛筆のスチール製ケース」をそのまま使用したり、
「インク瓶」をイメージした容器に入れられ、また、クッキーなどの詰め合わせ用の箱は、
書類を入れる「ファイルボックス」として使えるように、インデックス用の窓が付けられた。
さらに、ケーキなどの生菓子などに使われる包装紙には「原稿用紙」の柄があしらわれ、
紙袋には「封筒用の玉紐」がつけられたデザインとなった。
このように、「書斎」というモチーフとともに、全てのアイテムがブラウンとクリーム色を
用いた落ち着きのあるトーンにまとめられることで、山の上ホテルの世界観と調和しつつ、
それを愛した文豪たちへのオマージュとなることを意識した。