fuu-raijin
指物は、金物の釘や接合道具を使わず、組手だけで木と木を組み合わせる日本の伝統工芸。
その中でも京指物は平安貴族の生活文化から生まれ、茶道文化の確立とともに発展した。
京都で1856年に創業した宮崎家具は、京指物の伝統を受け継ぎ、
職人が手作りで桐タンスや畳椅子を始めとする和家具を製造し続けている。
この京指物の技術を使って、木格子の「風神雷神図屏風」を制作することに。
右側に風袋から風を吹き出し風雨をもたらす風神、
左側に太鼓を叩いて雷鳴と稲妻をおこす雷神を対峙させて描く風神雷神図は、
17世紀に俵屋宗達が描いた京都・建仁寺蔵の屏風画が著名で、尾形光琳ら後世の絵師の作品が続く。
風神からは風を孕んだ布、
雷神からは体をねじった体勢と「天衣(てんね)」と呼ばれる細くたなびく衣、という要素を抽出。
これらの、3次元にも感じられる2次元的表現を実現するために、
普段は欄間などを手がける彫刻師と指物師による共同作業が必須であった。
使用した素材はヒノキ。ねじれた形状の部材同士を組み上げる作業は難易度が高く、
また歪みや反りへの対策も困難を極めた。
最後にガラス塗装を施すことで、木目を生かしたマットな仕上げとした。