seven sliding cases
天然鉱石である蛍石を粒子状にし、均一に圧密、焼成することで生まれるフルオロポリマー。
耐摩耗性の高さと摩擦力の小ささからロボットの関節などにも使われており、
さらに高い防汚性と耐久性も兼ね備えているため、損なわれることのない白さを持つ。
また、石のようなずっしりとした重みとしっとりとした感触、そして独特な温もりも特徴である。
これらの特性を先端産業以外の用途にも生かしたいと考えた結果、7種類のジュエリーケースが生まれた。
いずれもパッと見は同じ直径65mmの白い球体だが、それぞれ異なる箇所に僅かな窪みがある。
その窪みを目印にして触れると、滑るような動きとともに、球体の中からジュエリーが姿を現わす。
01 蓋がまるでジョイスティックのように、どの方向にも滑って開くケース
02 手に取り、ひっくり返すと、自重で回転して開くケース
03 上に引き上げると開き、手を離すとゆっくりと時間をかけて閉じていくケース
04 側面を押すと、球体の一部が横にずれるように開くケース
05 手で持ち上げると真ん中で半分に割れ、残りの半分がオモシの役目を果たすことで開くケース
06 肉厚を不均一にして重心バランスをずらしておくことで、球体の一部だけが転がって開くケース
07 トランプをテーブルに広げたときのように、4つの層が斜めに重なりながら開くケース
それは、「モノ」をデザインしたというよりも、むしろこの素材ならではの
「動き」をデザインしたような感覚であった。