Rinascente Milan
ミラノを代表する百貨店であり、街の「顔」でもあることから、Rinascenteのレディスフロアの
リノベーション計画にはミラノの街を感じさせる要素が求められた。そこでまず、市内でよく見かける
特徴的な「大窓」をフロア内に17個配置することで空間を緩やかに仕切ることにした。
これらの窓には「斜めから見ると不透明で、正面からは透明に見える」フィルムが貼られているため、
歩いていると突然商品が現れるような効果や、目の前の景色が次々と開けていくような空間体験を
生み出すことが可能となった。これによって、ミラノ市内の細い路地裏を歩くときに不意に飛び込んでくる
小さなショップウィンドウや中庭、そして突然開けた広場に遭遇する、といったあちらこちらに点在する
「小さな驚き」を表現したいと考えた。
ハンガーや棚などの什器類は「窓越しのめくれかけたカーテン」のような柔らかい印象にし、
「建物の間にケーブルで吊られている街灯」のようなディテールの照明を使用し、
また、外周部のショップ・イン・ショップのエントランスを「アーチ型」にすることで、
ミラノの街を歩く時の小気味良さとワクワクした気持ちを凝縮したいと思った。