ポケモンカードゲーム スカーレット & バイオレット

『ポケモンカードゲーム』は、『ポケットモンスター』のキャラクターが紙製のカードに描かれた対戦型トレーディングカードゲーム。
1996年の発売以来、長年に渡って世界中のファンに愛され続けている。
その第15シリーズ目となる『ポケモンカードゲーム スカーレット&バイオレット』のデザイン監修プロジェクト。
カード券面のデザインは従来通り株式会社クリーチャーズが主体的に進行しつつ、
このワークフローと並行してディスカッションと協働検証作業を繰り返すことでデザインをブラッシュアップしていくサポートを担った。

まずはカードをおよそ24の構成要素に分解し、
「カード名」「HP」「ワザ」「進化情報」「背景色」「カード枠」「図鑑情報」など、それぞれ個別に分析。
プレイ時に必要な情報の優先順位と配置関係の整合性や、手札として重ねて持った時にどの要素が隠れてしまうかを検証した。
さらに、画像処理によって見えにくくした状態での文字の可読性のシミュレーションも行った。
数多くの検討項目の中から、最終的に11箇所のアップデート要素が導かれた。

3種類のカードのうち、『ポケモン』のカードでは、「カード名」のフォントの整理や「HP」の
表示サイズを大きくし、「ワザ」と「HP」の背景色の明度調整によって視認性を向上。
また「弱点・抵抗力・にげる」が表記されている帯の存在感を弱めることで、対戦に必要な情報の優先順位を整理した。
場に出ているポケモンのカードが、ワザを使ったりベンチに「にげる」ために後から付けていく「エネルギー」カード は、
盤面上に複数枚をずらして重ねた際にも「エネルギー」が何個付いているのか識別できるように、右下にも「タイプアイコン」を追加。

対戦で役立つ効果を発揮する「トレーナーズ」カードは、
手札として持った際に情報が隠れてしまう現象を改善するために、
上位カテゴリである「トレーナーズ」と下位カテゴリである「サポート・グッズ・スタジアム」の表示の配置を逆にした。
さらに「ポケモンのどうぐ」を「グッズ」から独立させて新色を割り当てることとなった。

記録用の「ダメージカウンター(通称ダメカン)」は、『ポケモンカードゲーム』のシリーズ初期は「10(オレンジ色)」と「50(赤色)」の2種類のみで、「赤みが強いほうが大きい数字」という色相ルールがあった。
しかし、HP値の高いポケモンの増加に伴って「100」を追加したものの、
さらに赤みを増やせないことから黄色に設定されていた。
当初の色相ルールに立ち返り、「10(黄色)」「50(オレンジ色)」「100(赤色)」へ更新した。

「どく」と「やけど」を示す「マーカー」は、従来の「やけど」の絆創膏をクロスさせた表現から、
海外のプレイヤーにも直感的にわかりやすくなるよう「炎」のアイコンに変更。
それとトーンを合わせるため、「どく」のアイコンは従来のドクロから「液体」のような表現に。

こうしたアップデートを通じて、これまで以上により多くの人たちに、
より快適に『ポケモンカードゲーム』を楽しんでもらえることを願った。

Client:
株式会社クリーチャーズ
Collaborator:
Madoka Takeuchi
Photographer:
Masahiro Ohgami
2023.02