passing rain

ポツリポツリと水滴が落ちてきたかと思うと、ザッと雨が降り始め、しばらくすると雨雲が過ぎ去っていく通り雨。
こうした水滴の表情、空の色や明るさの変化だけでなく、音や香りといった様々な感覚を通じて、
私たちは時間の流れを感じ取っている。
このわずかな時間の経過を、5つの浮遊したボウルで表現。

細い線のようにも見える 「雨足」は、太さ2mmの鏡面のステンレス製棒材で表現。
この棒材はアルミ製のボウルと連結され、鏡面の台座に降り落ちる。
ボウルと棒材の接続箇所は斜めになっているため、溶接だけでは十分な強度が得られない。
そのためネジ止めと接着剤を併用して固定し、さらに、ネジを隠すために内側にボウルを重ねた。
台座は板が歪まない限界の温度で裏から溶接し、表面は「雨」を写り込ませる鏡面仕上げとした。
「降り始め」から「激しく雨が降る」5つの瞬間のうち、「降り始め」を表すボウルを支える棒材の本数が最も少なく、
固定方法が一番難しいものとなった。

通り雨の動きを、まるで静止画のように切り取ることで、時の流れをオブジェクトに閉じ込めたようなデザインとなった。

Collaborator:
Sherry Huang
Katsuaki Kobayashi
Photographer:
Hiroshi Iwasaki
2024.04