kona-shoyu container
京都の老舗料亭・下鴨茶寮が販売する「料亭の粉しょうゆ」は、粉末状にした醤油に柚子と一味を和えた新しい
タイプの調味料。液体醤油と違い食材を湿らせることがないため、揚げ物などもサクサクとした
食感のまま味わえる。その粉しょうゆのための器のデザイン。
これまでの器は注出口が小さく、掛ける量が判別しにくいのに加え、粉しょうゆが一気に噴出するという
課題もあり、醤油の「形態の進化」に充分対応できていないものであった。
そこで、茶事はもちろん、神社の手水舍や水桶でも使用する柄杓をヒントにすることに。
手水舎で身を清める際は、直接中に手を入れて水に触れるのではなく、一度柄杓の合に汲み、
その水を使う。今回の器でも突出口を合のような椀状にすることで、中の粉しょうゆを一回分を出して
量を確認できるようにした。そして、そのまま手首を返すことで、食材にもまんべんなく振りかける
ことができる。また、椀の裏側にわずかに平らな面を設けて寝かせやすい形状にしたことで、
詰め替えの際に椀の入り口が「漏斗」のような役割を果たし、粉しょうゆが入れやすくなった。
椀に入れた1袋分の粉しょうゆは、持ち手を手前に傾けるだけで器の中に入っていく。
量を確認する前に粉しょうゆが椀から勢い良く飛び出さないよう、あるいは椀に残った粉しょうゆが器の中に
綺麗に戻っていくよう、椀の大きさや首の傾斜は、何度も検証を繰り返すことで導いた。