Harcourt ice

1764年に創設、長きにわたりクリスタルガラスを製造し続けてきたバカラ。
そのバカラを代表する「アルクール」をリデザインするにあたり、 まるで美しく凍結している「氷」のような
エッジを、「溶かした」ような表現にすることでクリスタルの新たな魅力を引き出したいと考えた。

完成されたアルクールのグラスは、あらためてひとつひとつ職人の手によってエッジが削られ、
その後、酸を使って表面を溶かすことで滑らかにされた。 柔らかな手触りや独特の光の屈折は
まさに溶け始めた氷のようであり、長い伝統と歴史を持ちながらも、 常にとどまることなく
新たな変化を求めて挑戦し続けるバカラの姿勢と重ね合わせると同時に、 「硬質な氷」から
「自由に流れる水」へと変容するその「一瞬を捕えた」かのようなタイムレスな表情が生まれた。

Client:
Baccarat
Photographer:
Hiroshi Iwasaki (07-09)
2012.10