Harcourt-chessboard
フランスの老舗クリスタル製造メーカー「バカラ」の代名詞とも呼ばれる、
1841年に発表されたグラス「アルクール」を使ってデザインしたチェスセット。
一見するとアルクールとチェスには何ら関係が無さそうに思えるものの、どちらも2人で向かい合い、
卓上(盤上)に置かれた器(駒)を手に取って楽しむ、という共通点に着目し、二人でお酒を酌み交わす感覚で
チェスに興じることをイメージした。グラスには新たな要素を一切加えずに、部分的に切り取ることで
キングの王冠や、クイーンのローブの襟、僧侶の帽子など、チェスに用いられる
6種類の駒を「演じ分ける」ことを考えた。
切る位置や角度をわずかに変えるだけでもその印象は大きく変化し、そのどれもが美しい形状となったことは
驚きであり、それはすなわち、アルクールがいかに多様な表情を内包している
「名優」であるかを意味していた。駒には透明クリスタルと「ミッドナイトブルー」と呼ばれる濃紺の
クリスタルを使用。盤はアクリル板を交差させたものによって駒の透明感を強調し、底面に濃紺の着色を
施すことで盤上に市松模様を浮かび上がらせた。
その際にバカラの象徴である赤色のアクセントを一カ所だけ添えることは忘れなかった。