foam-can
美味しいビールには「泡」の存在が不可欠とされている。
これは、適度な厚みの泡の層がビールが空気に触れないようにする「フタ」の役割を果たしてくれて、
香りや風味、そして炭酸ガスを逃しにくくするからである。
国内のビール市場において、業務用は瓶やサーバー用タンクなどで出荷されることが多いものの、家庭用は大半が缶ビールである。
しかし、缶ビールをコップに注いで理想的な泡を作るのは難易度が高い。
缶ビールの泡が発生する原理は、原料由来の要因を除くと主に2つ。
開封したときの缶内圧力の急激な低下と、注ぐときの缶と液体の間で生じる摩擦によるもの。
そこで、フタを少しだけ開ける仕組みに変えると、狭い開口部に圧力が集中し、
同時に、注ぐ時にはビールがフタに接する面積が増えるため、泡ができやすくなることがわかった。
こうした背景から、通常は「1つ」のプルタブを、「2つ」に増やした缶をデザイン。
それぞれのプルタブとフタとの距離をわずかに変えることで、フタの開き加減が異なる仕様に。
1つ目を使って開缶すると、フタが少しだけ開くことで多めに発泡する。
グラスの半分程度にまで泡ができたら、いったん注ぐのをやめて、泡が落ち着くのを待つ。
その後、2つ目のプルタブを開くと、フタが全開になる。
あとは缶に残っているビールを静かに注いで、泡の下に流し込む。
このようにして、黄金比率と呼ばれている「液体7:泡3」の1杯が、缶ビールから注いでも手軽に作れるようになった。