yuikou
江戸時代中期に創業のルーツを持つ松栄堂は、300年にわたりお香を手がけてきた京都の老舗。
この松栄堂のために、7種類の香りをそれぞれ7色で表現し、4種類の形状を用意した新しいお香をデザインした。
ひとつのお香の燃焼時間をおおよそ5分に設定し、
複数のお香を「水引き」や「帯締め」のように「結び合わせて」使うシーンを考えた。
このとき、お香が2つ結び合っている箇所では、2つの香りが混ざり合うのが特徴。
つなぐ長さや結び目の数により、最初に、Aの香りが5分。次に、AとBが混ざった香りが5分。
最後に、Bのみの香りが5分といった具合に、時間の経過と共に香りが連続的に変化していくようにした。
お香の形状が複雑であったことから、まず細長いお香を一本で押し出し、
その柔らかい状態のお香を3Dプリンターで出力された型の上に置いて、乾燥させる方法で作成。
お香を並べた際に端部が綺麗に重ならないと火が移らないため、
最終工程では精密ヤスリを使った手作業でエッジを削り出した。
また、檜製の香炉も合わせてデザイン。
中に香炉灰を敷き詰めて、その上から香炉の蓋を押し付けることで、灰の表面に凹凸状の和柄が浮かび上がる。
和柄は、紗綾型、青海波、市松、三崩し、七宝、麻の葉、籠目、鱗、入子菱といった伝統的なものを
組み合わせて6種類を用意。
その上にお香を並べ、直接火をつけて使用する。
このように、香炉灰の模様と、さまざまな色や形状のお香を組み合わせることで、
香りだけでなく視覚的にも楽しめるようにした。