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778年創建の清水寺は、平安京遷都以前からの歴史がある京都を代表する名刹。
その執事補の大西英玄氏との対話を通じて、「祈りの空間とは『目には見えないけれど、
そこに確かに存在する想いやエネルギー』を可視化し、感じ取ることができる場」という理解をし、
この「祈りの空間」の再解釈を、普段は公開されていない経堂で試みることにした。

まずは、空中に電気を飛ばして離れた場所から充電をすることが可能な非接触充電技術に注目。
これこそが現代における「目には見えないけれど、存在しているエネルギー」と捉え、
この技術を使った照明器具をデザインすることで、その存在を可視化したいと考えた。
実現するにあたり、京都大学発ベンチャーのSpace Power Technologies社の協力により、
電気をマイクロ波に変換して数メートル先まで飛ばせる次世代送電技術「WPT」を採用。
照明内部にはLEDが取り付けられ、別の場所から飛ばしている電気によって発光するため、
配線類は存在しない。

清水寺の本尊は十一面千手観世音菩薩である。
観音菩薩はこの世の命あるものすべてを救済するにあたって、
相手に応じて33種類の姿に変身するとされる。
そこで、照明も33台それぞれ異なる形態とし、経堂の中央に配置した。
そして、左には清水寺に所蔵されている地蔵菩薩像を、
右には同じく毘沙門天像を配置することで、
「祈りの空間」としての関係性が成立するようにした。

観音菩薩を取り巻く「目に見えないエネルギー」は、仏教用語では「光明(こうみょう)」と
呼ばれることから、そのまま照明に名付けることにした。

Collaborator:
Sayaka Ito
Suheyl Onal
Takahiro Fukino
Mizuki Kasai
Photographer:
Akihiro Yoshida