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江戸時代中期に京都で創業して以来「京提灯」を作り続ける小嶋商店。
竹割から紙貼りまで一貫して手作業で行われる伝統的な京提灯の特長は、その強度の高さと丈夫さにある。
そこで、これとは真逆の要素である「弱さ」という因子を加えることで、新たな表現を試みた。

京提灯では通常、リング状の竹ひごが提灯の「骨」となる。一本の竹ひごを輪に成形し、
端部を和紙で固定した後、それらを木型にはめ込んで竹ひご同士を糸で繋いでいく。
この工程に注目し、竹ひご同士をきつく繋がずに、少し隙間を空けて和紙で留めることで、
まるで「関節」のような可動性を持たせることができた。
こうして、ひとつの輪の円周上に 8 つの関節を設けることにより、提灯を「裏返し」できるようになった。
自身の一部を飲み込んでいるようなものや、3 重に入れ子状になっているもの、
さらには内部を通過して反対側から顔を覗かせているものなど、10 種類の提灯を作成。
屋外で使われることの多い京提灯は、本来は厚めの和紙を使用するが、このデザインの特徴を活かすために、
透過性の高い絹を表面に貼って仕上げることに。

最終的に出来上がったものは、京提灯のDNAを継承しつつも、その質実剛健な佇まいとはかけ離れた、
軽やかで多層性のある提灯となった。

Collaborator:
Arata Nishikawa
Yosuke Matsushita
Sherry Huang
Photographer:
Hiroshi Iwasaki