cabbage chair

東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTの1周年を記念した、三宅一生氏ディレクションによる
企画展「XXIc. -21世紀人」のためにデザインした小椅子。

プリーツ布地を製造する過程で大量に廃棄されるプリーツ紙を使って家具を作って欲しい、という
三宅氏からのリクエストに対して、ロール状に巻き取られたプリーツ紙の束を、まるで野菜の皮のように
一枚一枚剥いていくことで、小椅子が生まれた。

加工性を良くするために、紙に最初から配合されていた樹脂成分による、強度と形のクセのつけやすさ、
また、紙にかかったプリーツ自体による、伸縮性と弾力性によって、小椅子は荒々しい表情ながらも、
柔らかい座り心地が自然と生まれた。

また、とても単純な製造プロセスのため、コンパクトな束の状態で配送し、自分自身で剥いて
椅子に完成させるという販売方法も将来的には可能だと考えた。
骨組みや仕上げなどがなく、釘やネジも使わないプリミティブなデザインは、製造・物流コストや
環境問題といった、21世紀に我々が抱きつつある諸問題に緩やかに順応し、
三宅氏が思い描く「衣服をまとっていくのではなく、脱皮をしていく」ような、
よりエネルギッシュで前向きな「21世紀人」の姿に呼応している気がした。

Places:
六本木 / 21_21 DESIGN SIGHT
Client:
21_21 DESIGN SIGHT
Photographer:
Masayuki Hayashi
2008.03