oke cup / oke carafe
京都の老舗割烹料理店や旅館などに長年愛され続けている桶屋「中川木工芸」。その桶の製造技術を応用して
作られたタンブラー、ぐい飲み、ショットグラス、おちょこと徳利からなるコレクション。
「タガ」を本来の2本ではなく1本で形状を保持したいと考えた結果、通常よりも壁を厚くし、
僅かに隙間を持たせることで応力を分散させるという新しい構造を編み出すこととなった。
タガが一本になったことですっきりとした佇まいとなり、木に厚みによって口当たりが魅力的なものになった。
また、通常はストンと下に落ちる側面のシルエットを、底にかけて丸みを帯びさせることによって、
視覚的にも、手で持った際にも「柔らかさ」を感じてもらうことを目指した。
さらに、タガの金属的なギラつきを抑えるために、サンドブラスト加工でマットな質感にしたり、
粉体塗装による着色を行うなど、新たな表面処理の開発も行われた。
素材はヒノキを使ったものと、2000年以上地中に埋まっていたことで暗い色調に染まった「神代杉」と
呼ばれる希少性の高い木材を使ったものの2種類が用意され、いずれもウレタン塗料を含浸させることで、
紫外線や汚れ、湿度による変形などを最小限に留めることが可能となった。
新旧の技術の融合することで生まれた、木の魅力を最大限に引き出した器のコレクションとなった。