50 manga chairs
漫画は輪郭線で構成されることによる平面性と抽象度の高さを伴った表現手法である。
日本だとそのルーツは江戸時代の浮世絵にまで遡るとされており、我々の文化に深く根付いた存在とも
言えるが、 その漫画が持つ強い記号性を家具デザインに応用させることを考えたインスタレーション。
一枚の紙に複数の「コマ」を連続させることでシークエンスを生み出している漫画と同様に、
ベースとなるシンプルなイスをグリッド状に50脚並べ、 それぞれが独立した家具としてではなく、
お互いの関係性をそれとなく感じさせることを試みた。 さらに、そのひとつひとつに漫画的な要素を
加えていき、 「フキダシ」や「効果線」によって音声や動作などを視覚化したり、 「漫符」と呼ばれる、
汗や涙などによる感情表現を活用することで、キャラクター性や物語性を持たせようと考えた。
また、できる限り色やテクスチャーといった物質感を与えたくないという思いから、 漫画と同じく、
現実世界を投影することで新たな空間的レイヤーを生み出してくれる「ミラー」で全面を仕上げることにした。