slice of time

イタリアの高級時計ブランド「PANERAI」のために手がけたインスタレーション。

一筆書きの数字を用いたインデックスや、スクエアなフォルムのケースといったパネライの特徴を凝縮した
透明な「抜け殻」のような時計をまずはデザインし、それを押出し成型によって16mの長さに引き伸ばした。
この細長い「抜け殻の時計」を少しずつスライスしながら手作業で時計が作られていき、
完成品は来場者が持ち帰ることができる。このとき、来場者の「年齢」が「mm」に変換されて
切り出されるため、様々なプロポーションの時計が自然と生み出される。

研磨、サンドブラスト仕上げ、組み立てなど、ひとつひとつの作業行程ごとに円形のアトリエ空間が用意され、
それらが噛み合い、連動しながら徐々に時計が仕上がっていく様子は、まるで時計の歯車のようである。
時計は5分おきに1点ずつ製作され、細長い「抜け殻の時計」は展示期間の間に少しずつ短くなっていき、
すべて消えた瞬間にインスタレーションも終了する。 つまり、この「抜け殻の時計」もまた、
砂時計のように時間を知覚させるための装置なのである。

「時計のはかり売り」のように「時間」を「長さ」に変換することで、時間を体感することが可能となり、
さらには「自分だけの時間を持ち帰る」ことができるのではないかと考えた。

Client:
OFFICINE PANERAI 
2017.04